まちなか常設展示

ファット・ハウス/ファット・カー

エルヴィン・ヴルム


作品について

 ぶくぶくと太った家と車が置かれています。《ファット・ハウス》と《ファット・カー》は、技術的なシステムと生物学的なシステムの関連性に焦点をあてた作品です。テクノロジーは通常、それ自体が身体のように大きくなったり老いたりすることはありません。しかし、太るという生物としての仕組みを車や家に重ねることで、機械や建造物であっても身体が成長するように変化する可能性を示しています。
 ところで「理想的な体型」とはなんでしょう。私たちの美しさの基準は、社会的な常識によって決められているのではないでしょうか。権力や富の象徴、社会における強さも同様です。これらの作品は私たちが当たり前のように考えている価値観が、じつはとても曖昧な根拠に基づいていることを表現しているのです。
 家も車も私たちの生活には不可欠なものであり、また所有することは社会的地位を示すことでもあります。「素敵な家」や「格好いい車」といった価値観は多くの人が共感するものでしょう。いわば社会の鏡である家や車が、太るという現象によって私たちを裏切った時、私たちはなにを美しいと思うのでしょうか。見た目はユーモラスですが、ヴルムは私たちの常識に疑問を投げかけているのです。

撮影:小山田邦哉


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