開催中の企画展
2025年4月12日(土) - 11月16日(日)
十和田市現代美術館では、エルヴィン・ヴルムの日本の美術館での初個展を開催します。当館は、ヴルムの作品(《ファット・カー》《ファット・ハウス》)を日本で唯一常設展示しています。
オーストリアの重要な作家の一人であるヴルムは、石膏や金属といった伝統的な彫刻の素材だけでなく、写真や衣服、絵画といった多様なメディウムを用いて、彫刻表現の特性を探究し、その固定化された概念を拡張してきました。
本展では、彫刻の最も原初的なモチーフである人の身体を起点に、時間、量塊と表面、具象と抽象を巡るヴルムの作品を紹介します。衣服や家具といった身の回りの物質や、言葉の記号的な意味、あるいは社会のイデオロギーといった様々な要素に影響を受ける「人のかたち」の輪郭は、脆弱で可変的であり、自由な可能性を含むものです。ヴルムの作品は、時に面白おかしく、時に批評的に、社会に存在する規範・制度・権力の構造を炙り出します。
2024年の最新作である大型インスタレーション《学校》や、「皮膚」シリーズ、「平らな彫刻」シリーズなど、近年の作品を日本で初公開します。
エルヴィン・ヴルム
1954年ブルック・アン・デア・ムーア(オーストリア)生まれ。ウィーンとリンベルクを拠点に活動。ウィーン応用美術大学とウィーン美術アカデミーで学ぶ。ヴルムは彫刻の概念を徹底的に拡張し、時間、量塊と表面、また具象と抽象の関係について問いかける。主な個展に「Deep」(国立マルチャーナ図書館・コッレール博物館、イタリア、2024年)、「Trap of the Truth」(ヨークシャー彫刻公園、イギリス、2023-2024年)、「Erwin Wurm Photographs」(ヨーロッパ写真美術館、フランス、2020年)など。彼の作品は、「第57回ヴェネチア・ビエンナーレ」(イタリア、2017年)のオーストリア館で展示された。
十和田市現代美術館の常設作品として、《ファット・ハウス》、《ファット・カー》を展示している。
名称
会期・日時
会場
十和田市現代美術館
休館日
月曜日(祝日の場合はその翌日)
ただし4月28日、5月6日、8月4日、8月12日は開館。
観覧料
一般1800円(常設展含む)、高校生以下無料
主催
十和田市現代美術館
後援
オーストリア文化フォーラム東京、青森朝日放送、青森テレビ、青森放送、エフエム青森、デーリー東北新聞社、東奥日報社、十和田市教育委員会
企画
中川千恵子
《ファット・ハウス》
2010年
撮影:小山田邦哉
《ファット・カー》
2010年
撮影:小山田邦哉
参考図版《学校》
2024年
撮影:Rainer Iglar / Salzburg – Vienna
Courtesy: Albertina Modern, Vienna
参考図版《学校》
2024年
撮影:Rainer Iglar / Salzburg – Vienna
Courtesy: Albertina Modern, Vienna
参考図版「平らな彫刻」シリーズより《Masse(塊)》
2021年
撮影:Markus Gradwohl
参考図版「平らな彫刻」シリーズより《Hour(時間)》
2021年
撮影:Markus Gradwohl
参考図版「皮膚」シリーズより《立っている花 2》
2020年
撮影:Markus Gradwohl