オーストリアの彫刻家 エルヴィン・ヴルムによる日本の美術館での初個展を開催中
十和田市現代美術館では、2025年4月12日(土)– 11月16日(日)まで、オーストリアの作家、エルヴィン・ヴルムの個展を日本で初めて開催しています。
彫刻を学んだヴルムは、石膏や金属などの彫刻だけでなく、写真や映像、絵画といった多様なメディアを用いて、伝統的な彫刻の概念を拡張しています。身の回りの日用品を用いて、社会に存在する規範・制度・権力の構造を面白おかしく炙り出し、鑑賞者に様々な問いを提示します。
本展では、最新作の《学校》を初公開しています。歪められた学校の教室の内部には、過去に使用されていた「時代遅れ」の教材が掲示され、学校という制度が持つ権力や「正しさ」が曖昧であることが示されます。また、聖職者が奇妙なポーズで写る「修道士と修道女」の写真シリーズや、近年制作された「皮膚」や「平らな彫刻」など、様々な技法からなる作家の作品を紹介しています。
作家の代表作である《ファット・ハウス》《ファット・カー》を日本で唯一常設展示している当館での初個展は、オーストリアの重要な作家の一人であるヴルムの作品群を鑑賞いただける貴重な機会となります。
【取材記事掲載のお知らせ】
最新作の大型インスタレーション《学校》を展示
オーストリアで2024年に公開された《学校》を本展のために制作・展示しています。歪められた形の学校の教室の内部に、明治維新以降に学校で使用されていた教材や、子どもたちが目にしていたと考えられる印刷物が掲示され、学校という制度やそれを含む社会自体が圧力を持っていること、「正しさ」や社会の規範が時代の変化によって移ろいゆく曖昧なものであることが示唆されます。
写真、衣服、絵画など、さまざまなメディウムの作品で展示を構成
奇妙なポーズの滑稽な聖職者を被写体にした「修道士と修道女」の写真シリーズや、人間の第二の皮膚として衣服を応用した《吊されたセーター》、彫刻の表面と量塊の関係を表した「皮膚」シリーズの《立っている花 2》、平面性をラディカルに追求した絵画の「平らな彫刻」シリーズなど、多様なメディウムで表現されるヴルムの作品を展示しています。
「1分間の彫刻」シリーズのまちなか展示
十和田のまちなかの施設や店舗で「1分間の彫刻」シリーズを展示します。作品の指示に従って観賞者が1分間だけ静止したポーズを取る作品です。個人的なものであるはずの「からだ」が自分の意思を離れ、彫刻化されます。
まちなか展示会場
1. 十和田市地域交流センター「とわふる」
住所:十和田市稲生町16-1
2. 14-54
住所:十和田市稲生町14-54
instagram: @1454towada
3. 松本茶舗
住所:十和田市稲生町17−5
4. カフェリトルハウス
住所:十和田市西二番町11-27
instagram: @little_house_towada
十和田市現代美術館では2012年より、美術館向かいのアート広場では、エルヴィン・ヴルムの代表作《ファット・ハウス》《ファット・カー》を日本で唯一常設展示しています。
エルヴィン・ヴルム
1954年ブルック・アン・デア・ムーア(オーストリア)生まれ。ウィーンとリンベルクを拠点に活動。ウィーン応用美術大学とウィーン美術アカデミーで学ぶ。ヴルムは彫刻の概念を徹底的に拡張し、時間、量塊と表面、また具象と抽象の関係について問いかける。主な個展に「Deep」(国立マルチャーナ図書館・コッレール博物館、イタリア、2024年)、「Trap of the Truth」(ヨークシャー彫刻公園、イギリス、2023-2024年)、「Erwin Wurm Photographs」(ヨーロッパ写真美術館、フランス、2020年)など。彼の作品は、「第57回ヴェネチア・ビエンナーレ」(イタリア、2017年)のオーストリア館で展示された。
十和田市現代美術館の常設作品として、《ファット・ハウス》、《ファット・カー》を展示している。
撮影:Markus Gradwohl
©Erwin Wurm, Bildrecht Wien, 2025
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展覧会名: エルヴィン・ヴルム 人のかたち
会期: 2025年4月12日(土)- 11月16日(日)
開館時間: 9:00 – 17:00(入場は閉館の30分前まで)
休館日: 月曜日(祝日の場合はその翌日)ただし8月4日、8月12日は開館。
会場: 十和田市現代美術館
観覧料: 一般1800円(常設展含む)、高校生以下無料
主催: 十和田市現代美術館
後援: オーストリア文化フォーラム東京、青森朝日放送、青森テレビ、青森放送、エフエム青森、デーリー東北新聞社、東奥日報社、十和田市教育委員会
企画: 中川千恵子
十和田市現代美術館にお越しの際は、ぜひあわせて市内の観光スポットへ足をお運びください。
まちなかのアートスポットや奥入瀬渓流、十和田湖などの自然もおすすめです!
観光情報は、TOWADA TRAVEL(十和田奥入瀬観光機構)のWebサイトをご覧ください。
https://www.towada.travel/
十和田奥入瀬観光機構の公式Instagramアカウント
https://www.instagram.com/towada_travel/