過去の企画展
2024年4月13日(土) - 11月17日(日)
年々上昇する気温と、それに伴い激しさを増す自然災害。私たちの生活を支えていると思っていた自然環境は不安定性を増し、人間の自然に対する関係を再考することが求められています。しかし現在私たちが知る「人間」のあり方そのものが、自然を管理すべきものとして収奪してきたのだとすれば、そのおなじ「人間」が自然を「救う」ことができるのでしょうか。本展では近代が生み出した自律した主体としての「人間」を見直し、そこから排除された存在や思考に目を向けます。私たちの思考を規定するさまざまな二項対立的な枠組みの境界を撹乱しつつ強かに——野生でも飼われるのでもなく野良のように——息づくあり方や物語に出会うことになるでしょう。
日本とアメリカにルーツを持ち、トランスジェンダー女性として生きるあり方を彫刻で表現する丹羽海子、学校教育を離れ、独学でドローイングを柔らかいウールへと変換し風景を描く䑓原蓉子、品種改良や養殖といった人間のコントロールと動植物の生の関係を取り上げ、映像や料理の作品を作る永田康祐、ブラジルに植民地時代以前から伝わる知識をもとに、植物と人間の関係を問い直す作品を制作するアナイス・カレニンなど、多様な視点から自然を捉える若手アーティストの表現を紹介します。
AOMORI GOKAN アートフェス 2024
十和田市現代美術館では、AOMORI GOKANアートフェス2024の企画として、フェスのテーマ「つらなりのはらっぱ」を自然と人間の交わるところと捉え、その複雑に絡まる関係性に注目した展覧会「野良になる」を開催します。
映像: 永尾仁
グラフィックデザイン:加納大輔
撮影: 石川和也
音楽: Tatsuro Murakami & Anais-karenin
「野良になる」トレイラー Vol.1はこちら。
にわ・うみこ
1991年愛知県生まれ、アメリカを拠点に活動。西洋的な主体概念を否定し、身体やジェンダーに拘束されないオルタナティブな主体のあり方を彫刻を通して探究している。萎れた花や、熟したフルーツといった有機的な素材を用いて、儚く移ろいやすい存在を表現する。主な個展に「靴の中の暮らし(幻影コオロギ)」(Fig.、東京、2023)、「The Quantified Elf (and how it came to love itself)」(Someday Gallery、ニューヨーク、アメリカ、2022)、グループ展に「The Invention of Nature」(Nino Mier Gallery、ロサンゼルス、アメリカ、2023)、「もうすぐ春ですね」(XYZ Collective、東京、2022)など。
©︎Umico Niwa, 2022, Photography: Colin Conces
だいはら・ようこ
1989年千葉県生まれ、東京都を拠点に活動。ドローイングで構成したイメージを、ウールを用いたテキスタイルへと変換して制作している。日常で出会う植物や風景など様々なモチーフを紡ぎ合わせ、カラフルで空想的な心象風景を描く。主な個展に「project N 88 䑓原蓉子」(東京オペラシティ アートギャラリー、2022)、「食べてください食べないでください」(Take Ninagawa、東京、2022)など。美術家の冨樫達彦、渡邉庸平とともにアーティストランスペース兼食堂であるLavender Opener Chair・灯明を運営。
© Yoko Daihara, courtesy of Take Ninagawa, Tokyo.
1993年ブラジル、サンパウロ生まれ、近年は日本を拠点に活動。ブラジルに植民地時代以前から伝わる、薬効を持つ植物に関する知識体系を研究し、植物との親密な関わりを通して植物と人間との関係性を問い直している。アニミズムや神話、植民地主義の歴史、言語、科学などさまざまな分野を横断してリサーチやフィールドワークを行い、香りやサウンドといった五感に訴える包括的な表現方法で、植物を新たな姿で捉える作品を制作している。主な個展に「Things named [things]」(The 5th Floor、東京、2023)、「Mediate Plants」(工房 親、東京、2023)など。サン・パウロ大学博士研究員、早稲田大学客員研究員及びティーチングアシスタント。
撮影:加藤甫
ながた・こうすけ
1990年愛知県生まれ、神奈川県を拠点に活動。自己と他者、自然と文化、身体と環境といった近代的な思考を支える二項対立、またそこに潜む曖昧さに関心をもち、写真や映像、インスタレーションなどを制作している。近年は、食文化におけるナショナル・アイデンティティの形成や、食事作法における身体技法や権力関係、食料生産における動植物の生の管理といった問題についてビデオエッセイやコース料理形式のパフォーマンスを発表している。主な個展に「イート」(gallery αM、東京、2020)、グループ展に「見るは触れる 日本の新進作家 vol. 19」(東京都写真美術館、2022)、あいちトリエンナーレ(愛知県美術館、2019)など。
名称
会期・日時
会場
十和田市現代美術館
開館時間
9:00 − 17:00(入場は閉館の30分前まで)
休館日
月曜日
臨時開館日:4月22・29日、5月6日、7月15・29日、8月5・12日、9月16・23日、 10月14日、11月4日
観覧料
1800 円(常設展込み)。高校生以下無料。
主催
十和田市現代美術館
後援
駐日ブラジル大使館、青森朝日放送、青森テレビ、青森放送、エフエム青森、デーリー東北新聞社、東奥日報社、十和田市教育委員会
企画
外山有茉
AOMORI GOKAN アートフェス webサイト