十和田出身の映像作家 水尻自子と漆彫刻家 青木千絵による新作を公開
十和田市現代美術館では、Arts Towada 十周年を記念した全3期にわたる展覧会「インター+プレイ」展を開催しています。
その最後を飾る第3期では、青森県十和田市出身の映像作家 水尻自子と漆彫刻家 青木千絵の作品を展示します。
水尻自子のアニメーション作品は、鑑賞者の触感や痛覚を刺激し、まるで視覚で物に触れているような感覚を呼び起こします。本展の作品はミュージシャンの本田ゆかが音楽を担当し、十和田のために制作された新作です。一方、漆を用いた青木千絵の彫刻作品は、身体をモチーフにし、体の内側に溜まった感情が外側の身体へと現れ、覆い尽くすような造形です。身体を覆う幾重にも重ねた漆の鏡面には、奥にのみこまれるような深みがあり、鑑賞者を作品の内側に惹き寄せます。展覧会では新作と旧作を組み合わせて展示します。
第3期では、身体の内と外を越境し、他者と感覚を共有していく映像や彫刻作品が中心となります。美術館とまち、人と自然との関係から考え始めた相互作用という展覧会のテーマを、身体感覚の領域にも広げていきます。
なお、第2期のトマス・サラセーノの展示の一部や、通年展示の鈴木康広《はじまりの果実》、目[mé]《space》は、引き続き展示し、問題行動トリオによるパフォーマンスも会期中に開催します。
画像:青木千絵《BODY18-2》2018年 撮影:池田ひらく
【「インター + プレイ」展 第3期 CM】
Videography: Ishikawa Kazuya
1. 2021年カンヌ国際映画祭『監督週間』で上映された十和田市出身の映像作家 水尻自子の新作を日本初公開
水尻自子は、淡い色合いを用い、柔らかい線の手描きのアニメーションが特徴的な映像作家です。本展が日本初公開の
《不安な体》では、身の回りにあるオブジェの感触を描くことで、観る人の記憶にある体験を呼び起こし、鑑賞者の
身体にシンクロするだけでなく、侵食してゆくような映像を作り出しました。また、ミュージシャンの本田ゆかの音楽
は、アニメーションの動きにぴったりと呼応し、聴覚からも鑑賞者の感度を高める効果を生み出します。
2. 青木千絵の代表作《BODY》シリーズの新作と旧作を展示
漆彫刻家の青木千絵は、金沢美術工芸大学で漆と出会い、その深い色や艶に魅了されるとともに、自然からひきだされた
素材に生命力や人をひきこむ力を感じたと言います。青木は乾漆技法を用いながら、自分と他者との関係性や、自分自身
の外(身体)と内(精神)などをテーマに、漆による新しい表現形式を生み出しています。本展では《BODY17-1》
《BODY18-2》、十和田のために制作された新作《BODY21-3》が展示され、いずれも身体と精神が融和し衝突し合う様
を表現し、見る者の身体感覚を拡張していきます。