過去の企画展
2019年4月13日(土) - 9月1日(日)
十和田市現代美術館が2018年から取り組む〈「地域アート」はどこにある?〉プロジェクトの一環として本展は開催された。地域の人々と協働しながら実験的な作品を展開する北澤潤、Nadegata Instant Party、藤浩志による展覧会。北澤とNadegata Instant Partyは、新作を美術館と十和田のまちに展開し、藤はキュレーターの金澤と自身の学生時代をモデルにした小説を発表した。タイトルの「ウソ」とは、芸術表現における虚構やフィクションを意味し、それらをコミュニティにもち込むことで、現実の世界に変化をもたらす作家たちの実践が間近に見られる展示となった。
Videography:KAZUYA ISHIKAWA
「地域アートはどこにある?」プロジェクト書籍
来場者4万人突破! 大都市から離れた美術館が多くの来場者を集めた展覧会「ウソから出た、まこと」展。
北澤潤、Nadegata Instant Party、藤浩志という3組のアーティストを迎えたこの展覧会は、作品展示にとどまらず、十和田市の住民を巻き込んだ「地域アートはどこにある?」というプロジェクトに位置付けられていました。
地域におけるアートは住民、アーティスト、行政など様々な関係者とそれぞれの思考が混ざり合って成り立っています。
それは「地域アート」という言葉で語れることなのか。
展示紹介やプロジェクト中のクロストークを収録、十和田という現場の実践と思考の軌跡・論稿を、住民や様々なゲストとともにまとめた1冊です
[書籍]
「地域アートはどこにある?」
サイズ:A5サイズ(240ページ) 並製
言語:日本語
発行:堀之内出版
販売価格:3,500円(税別)
書店販売日:2020年3月30日
ISBN:978-4-909237-47-7
Cコード:C0070 一般 単行本 芸術総記
十和田市現代美術館(編集)、小川 希(著/文)、金澤 韻(著/文)、北澤 潤(著/文)、木ノ下 智恵子(著/文)、小池 一子(著/文)、里村 真理(著/文)、高須 咲恵(著/文)、中村 政人(著/文)、ナデガタインスタントパーティー(著/文)、中崎 透(著/文)、山城 大督(著/文)、野田 智子(著/文)、原田 裕規(著/文)、林 曉甫(著/文)、日比野 克彦(著/文)、藤井 光(著/文)、藤 浩志(著/文)、藤田 直哉(著/文)、星野 太(著/文)、見留 さやか(著/文)、ミヤタ ユキ(著/文)、目[mé](著/文)、山出 淳也(著/文)、山崎 亮(著/文)
取り扱い:十和田市現代美術館カフェ&ショップ「cube」、全国主要書店
※オンラインでも販売しております。
お問い合わせ:
十和田市現代美術館カフェ&ショップ「cube」
Tel: 0176-22-7789
E-mail: cube@towadaartcenter.com
北澤 潤 きたざわ・じゅん
美術家。1988年東京生まれ、ジョグジャカルタ拠点。
東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。合同会社北澤潤八雲事務所代表。さまざまな国や地域でのフィールドワークを通して「ありえるはずの社会」の姿を構想し、多様な人びととの立場を越えた協働によるその現実化のプロセスを芸術実践として試みる。2013年よりIPA – Institute for Public Art 研究員(上海)、2016年に米経済誌フォーブス「30 Under 30 Asia」アート部門選出。2016年から2017年にかけて国際交流基金アジアセンター・フェロー(インドネシア)。
作家メッセージ
2018年6月に初めて十和田を訪れ、その後も雪に包まれた冬に二度滞在しました。いま生活の拠点にしているインドネシアからたどり着くと、小さな時差と大きな温度差のせいで、近いような遠いような、ふとどこにいるのかよくわからなくなります。またときどき訪れる中でこの感覚に慣れていくのかもしれません。今回、新たに取り組むプロジェクト《LOST TERMINAL》は、インドネシアの路上を行き交うさまざまな乗り物を持ち込み、街の中で乗ったり活用したりできる状況を生み出していきます。十和田市現代美術館の屋外空間が「発着場―ターミナル」となり、あちこちに異国の乗り物が出発しまた帰ってきます。乗ったり、目撃したり、使ったりすることで、その行き来をぜひ実体験してみてください。日本のようで日本でない、かといって当然インドネシアでもない、どこにいるのかよくわからなくなる感覚が生まれるかもしれません。僕自身の感覚と同じように、異質な乗り物たちもこの春から夏にかけて、十和田の街に慣れ親しんでいくでしょうか。その先にある新しい日常を見てみたいと思っています。
Nadegata Instant Party(中崎 透+山城 大督+野田 智子)
中崎透、山城大督、野田智子の3名で構成される「本末転倒型オフビートユニット」。2006年より活動開始。地域コミュニティにコミットし、その場所において最適な「口実」を立ち上げることから作品制作を始める。口実化した目的を達成するために、多くの参加者を巻き込みながら、ひとつの出来事を「現実」としてつくりあげていく。「口実」によって「現実」が変わっていくその過程をストーリー化、映像や演劇的手法、インスタレーションなどを組み合わせながら作品を展開している。
作家メッセージ
私たちNadegata Instant Partyは、2006年の結成以来、全国各地でプロジェクト型の作品を発表してきました。それぞれの場所や人に出会い、その状況そのものに大きく影響を受けながら作品制作をしています。「本末転倒型オフビートユニット」と揶揄されるほどに、自分たちが掲げた口実に自らも巻き込まれ、起こってしまった現実がイメージを超えてしまうようなことが幾度もあり、活動そのものがまさに「ウソから出た、まこと」だったりします。十和田市現代美術館での新作発表にあたり、私たちがテーマに掲げたのは「VR」、そう「ヴァーチャル・リアリティ=仮想現実」づくりです。ウソみたいな現実?現実みたいなウソ?目の前に起こる出来事とフィクションが展示室で混ざり合う、映像と音響と空間をつかった体験型の作品を構想しています。徐々にではありますが、十和田界隈の個性的な顔ぶれに出会い始めてきた今日この頃です。とりあえず、大量にいただいた「黒にんにく」をかじりながら盛大な本末転倒を巻き起こしていきたいです。
藤 浩志 ふじ・ひろし
美術家。1960年鹿児島生まれ。京都市立芸術大学大学院修了。パプアニューギニア国立芸術学校講師、都市計画事務所、藤浩志企画制作室、十和田市現代美術館館長を経て秋田公立美術大学大学院教授、NPO法人アーツセンターあきた理事長。国内外のアートプロジェクト、展覧会に出品多数。1992年藤浩志企画制作室を設立し「地域」に「協力関係・適正技術」を利用した手法でイメージを導き出す表現の探求をはじめる。
作家メッセージ
「もっと画期的なことせな!」嶋タケシの大学時代の友人、レイイチの口癖でした。芸術大学の学生は古今東西のあらゆるジャンルの作品に心奪われ、それを作りたいと真似し追いかけることから始まるのですが、あるところまでゆくと、これまで見たこともない、まだ世の中に存在しない作品を作らなければならなくなります。それを超えることができるかどうかが問題です。あぁ懐かしい。私自身は、ありそでなさそな新しい活動をどうやれば作れるのかという課題について、自分の体と家族の生活を犠牲にしつつも、実はかなり楽しみながら取り組んできました。活動がつくられるシステム、場、ツール、関係性等様々な角度から実践を重ねる中で、2003年に十和田を初めて訪れました。中央公民館で家族向けイベントかえっこを開催、そこでアートに関するアンケート調査を実施、その結果2008年十和田市現代美術館が開館。2012年から4年間十和田を活動の拠点とし、美術館の運営に関わらせていただきました。その時熟成した十和田奥入瀬での活動のアイデアはいろいろあるのですが、それは将来の課題とし、今回は活動家、嶋タケシの右往左往について小説とミニ立体絵巻として小さく展開したいと思います。で、嶋タケシって誰だ!
※連載小説「嶋タケシ」 第一回 第二回 第三回 第四回 第五回 第六回 第七回 第八回
名称
会期・日時
会場
十和田市現代美術館 企画展示室
開館日時
9:00〜17:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日
月曜日(祝日の場合はその翌日)
ただし、2019年4月22日(月)、30日(火)、7月29日(月)、8月5日(月)、13日(火)は臨時開館。
観覧料
企画展+常設展セット券1200円。企画展の個別料金は一般800円。
団体(20名以上)100円引き。高校生以下無料。
主催
十和田市現代美術館、十和田市
助成
一般財団法人 地域創造
特別協力
日商エレクトロニクス株式会社
協力
ママ&パパ×Rain、株式会社明山車輪、田島生花店、松本茶舗、南町内会祭典委員会、株式会社中川ケミカル
後援
東奥日報社、デーリー東北新聞社、青森放送、青森テレビ、青森朝日放送、十和田市教育委員会
企画
金澤韻、里村真理、見留さやか、ミヤタユキ
関連プロジェクト