今後の企画展

ウソから出た、まこと
―地域を超えていま生まれ出るアート

2019年4月13日(土) - 9月1日(日)

企画展について

地域の人々との共同作業によって作られる作品やプロジェクトが、いま日本では数多く行われています。十和田市現代美術館が昨年から取り組んでいる〈「地域アート」はどこにある?〉プロジェクトは、そういった表現の多様さ、そこにある課題、可能性をひもといていく試みです。本展はこのプロジェクトの一環として、地域の人々と共に実験的な活動を続けてきた3組の作家、北澤潤、Nadegata Instant Party、藤浩志による新作を、美術館内外で展示します。

北澤潤は、自身の活動拠点であるインドネシアの乗り物を持ち込み、来館者に貸し出すプロジェクトを行います。“他国の乗り物”という仕掛けが、エラーやバグのように突如としてまちに現れ、生活になじみはじめるとき、歴史と文化が共鳴し、私たちが当たり前と思っていた日常も揺るがされるでしょう。この企画は市民と共同で運営され、まちを「活性化」する実験としての側面を持ちます。

Nadegata Instant Partyは2006年の結成以来、日本全国各地でその地域の人たちを巻き込みながら、思いもよらない出来事を生み出してきた新進気鋭のアートユニットです。今回は公募で集まった一般参加者とともに、VR(ヴァーチャル・リアリティ)体験をテーマにした新作プロジェクトを行い、作家も参加者も予想できない、その時その場所で偶発的に起こっていく出来事を導き出し、作品にします。

藤浩志は、1980年代より参加者が自発的に事を起こすようなシステムや仕組みを社会にインストールする、OS(オペレーション・システム)と自らが呼ぶ作品を創出し続けてきました。本展では十和田市現代美術館と協働で自身をモデルにしたある作家の活動を小説化し、同時に実際の活動の痕跡を展示します。一人の作家の思考プロセスを通して、社会や歴史の動きと連動して出て来たこの表現領域の意味を、私たちは見ることになるでしょう。

タイトルにある「ウソ」は、芸術の常套手段である虚構、フィクションという意味です。それをコミュニティに持ち込むことで、現実を鮮やかに動かしていく彼らの実践をご覧ください。

アーティスト

北澤 潤 きたざわ・じゅん
美術家。1988年東京生まれ、ジョグジャカルタ拠点。
東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。合同会社北澤潤八雲事務所代表。さまざまな国や地域でのフィールドワークを通して「ありえるはずの社会」の姿を構想し、多様な人びととの立場を越えた協働によるその現実化のプロセスを芸術実践として試みる。2013年よりIPA – Institute for Public Art 研究員(上海)、2016年に米経済誌フォーブス「30 Under 30 Asia」アート部門選出。2016年から2017年にかけて国際交流基金アジアセンター・フェロー(インドネシア)。

作家メッセージ
2018年6月に初めて十和田を訪れ、その後も雪に包まれた冬に二度滞在しました。いま生活の拠点にしているインドネシアからたどり着くと、小さな時差と大きな温度差のせいで、近いような遠いような、ふとどこにいるのかよくわからなくなります。またときどき訪れる中でこの感覚に慣れていくのかもしれません。今回、新たに取り組むプロジェクト《LOST TERMINAL》は、インドネシアの路上を行き交うさまざまな乗り物を持ち込み、街の中で乗ったり活用したりできる状況を生み出していきます。十和田市現代美術館の屋外空間が「発着場―ターミナル」となり、あちこちに異国の乗り物が出発しまた帰ってきます。乗ったり、目撃したり、使ったりすることで、その行き来をぜひ実体験してみてください。日本のようで日本でない、かといって当然インドネシアでもない、どこにいるのかよくわからなくなる感覚が生まれるかもしれません。僕自身の感覚と同じように、異質な乗り物たちもこの春から夏にかけて、十和田の街に慣れ親しんでいくでしょうか。その先にある新しい日常を見てみたいと思っています。

Nadegata Instant Party(中崎 透+山城 大督+野田 智子)
中崎透、山城大督、野田智子の3名で構成される「本末転倒型オフビートユニット」。2006年より活動開始。地域コミュニティにコミットし、その場所において最適な「口実」を立ち上げることから作品制作を始める。口実化した目的を達成するために、多くの参加者を巻き込みながら、ひとつの出来事を「現実」としてつくりあげていく。「口実」によって「現実」が変わっていくその過程をストーリー化、映像や演劇的手法、インスタレーションなどを組み合わせながら作品を展開している。

作家メッセージ
私たちNadegata Instant Partyは、2006年の結成以来、全国各地でプロジェクト型の作品を発表してきました。それぞれの場所や人に出会い、その状況そのものに大きく影響を受けながら作品制作をしています。「本末転倒型オフビートユニット」と揶揄されるほどに、自分たちが掲げた口実に自らも巻き込まれ、起こってしまった現実がイメージを超えてしまうようなことが幾度もあり、活動そのものがまさに「ウソから出た、まこと」だったりします。十和田市現代美術館での新作発表にあたり、私たちがテーマに掲げたのは「VR」、そう「ヴァーチャル・リアリティ=仮想現実」づくりです。ウソみたいな現実?現実みたいなウソ?目の前に起こる出来事とフィクションが展示室で混ざり合う、映像と音響と空間をつかった体験型の作品を構想しています。徐々にではありますが、十和田界隈の個性的な顔ぶれに出会い始めてきた今日この頃です。とりあえず、大量にいただいた「黒にんにく」をかじりながら盛大な本末転倒を巻き起こしていきたいです。

藤 浩志 ふじ・ひろし
美術家。1960年鹿児島生まれ。京都市立芸術大学大学院修了。パプアニューギニア国立芸術学校講師、都市計画事務所、藤浩志企画制作室、十和田市現代美術館館長を経て秋田公立美術大学大学院教授、NPO法人アーツセンターあきた理事長。国内外のアートプロジェクト、展覧会に出品多数。1992年藤浩志企画制作室を設立し「地域」に「協力関係・適正技術」を利用した手法でイメージを導き出す表現の探求をはじめる。

作家メッセージ
「もっと画期的なことせな!」嶋タケシの大学時代の友人、レイイチの口癖でした。芸術大学の学生は古今東西のあらゆるジャンルの作品に心奪われ、それを作りたいと真似し追いかけることから始まるのですが、あるところまでゆくと、これまで見たこともない、まだ世の中に存在しない作品を作らなければならなくなります。それを超えることができるかどうかが問題です。あぁ懐かしい。私自身は、ありそでなさそな新しい活動をどうやれば作れるのかという課題について、自分の体と家族の生活を犠牲にしつつも、実はかなり楽しみながら取り組んできました。活動がつくられるシステム、場、ツール、関係性等様々な角度から実践を重ねる中で、2003年に十和田を初めて訪れました。中央公民館で家族向けイベントかえっこを開催、そこでアートに関するアンケート調査を実施、その結果2008年十和田市現代美術館が開館。2012年から4年間十和田を活動の拠点とし、美術館の運営に関わらせていただきました。その時熟成した十和田奥入瀬での活動のアイデアはいろいろあるのですが、それは将来の課題とし、今回は活動家、嶋タケシの右往左往について小説とミニ立体絵巻として小さく展開したいと思います。で、嶋タケシって誰だ!
※連載小説「嶋タケシ」 第一回 第二回

概要

名称

ウソから出た、まこと ―地域を超えていま生まれ出るアート

会期・日時

2019年4月13日(土) - 9月1日(日)

会場

十和田市現代美術館 企画展示室

開館日時

9:00〜17:00(入館は閉館の30分前まで)

休館日

月曜日(祝日の場合はその翌日)
ただし、2019年4月22日(月)、30日(火)、7月29日(月)、8月5日(月)、13日(火)は臨時開館。

観覧料

企画展+常設展セット券1200円。企画展の個別料金は一般800円。
団体(20名以上)100円引き。高校生以下無料。

主催

十和田市現代美術館、十和田市

後援

東奥日報社、デーリー東北新聞社、青森放送、青森テレビ、青森朝日放送、十和田市教育委員会

企画

金澤韻、里村真理、見留さやか、ミヤタユキ

           

参考作品

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