プロジェクト
2021年1月21日(木)〜2月21日(日)の一ヶ月、期間限定で十和田市現代美術館館内の常設展示がWEB上で巡る3DVRによる「オンライン鑑賞コンテンツ」として公開されます。
3DVRでは、まるで美術館にいるかのように展示空間を進み、360°見渡しながら館内を巡ることができます。ロン・ミュエクの《スタンディング・ウーマン》やスゥ・ドーホー《コーズ・アンド・エフェクト》など、周囲の展示空間も含めて見ることができ、写真とは全く異なる体験が可能となります。また、3DVRによって西沢立衛設計による当館の特徴的な建築も体験できます。展示室と屋外の見える廊下が交互に現れ、作品と建物が一体化した当館の特徴はオンラインでも体感することができます。動画による、館長や学芸員の作品解説もご覧いただけます。
トップ画像:アナ・ラウラ・アラエズ《光の橋》 ※3DVR実演の様子
十和田市現代美術館を設計した建築家・西沢立衛氏に3DVR「オンライン鑑賞コンテンツ」をご覧いただきましたので、そのご感想をQ&A形式でご紹介いたします。
Q1. 3DVR「オンライン鑑賞コンテンツ」をご覧いただき、どのように感じられましたか?
A1. たいへん面白い試みだと思いました。なかなか現地に行きづらい今の時期に、建物を中から見る体験ができて、写真では得られない体験をすることができました。
Q2. 3DVRで建築の体験を再現できる可能性はあるでしょうか。
A2. 再現はできないと思います。むしろ現実には体験できない、3D独自の新しい室内空間を体験できるのが、面白いと思います。
Q3. どの部分が再現されていて、どこが再現できていないと思われますか?
A3. 全体の雰囲気がなんとなく現実の街・美術館と似ていると感じました。光や雪の色が、東京のそれとは全然違う、十和田らしさを感じました。展示室から展示室へ移動する時、真っ白な街を見ることができて、きれいだと感じ、再び訪れたくなりました。
建築の室内については、部屋のすべてを一発で見せようとすると、どうしても強い広角レンズとなって、さらに実際の雰囲気とは異なる室内になると感じます。広角によってアートも、多少歪みすぎのような気がしました。また、現実の建築よりも空間構成が複雑化しているように感じました。先のわからない迷路を歩いているような感覚があるのは、全体の中で自分を位置付けることが3Dだと難しいのかもしれません。
Q4. 従来、建築を伝えてきた写真や映像といったメディアに比べるといかがでしょうか。
A4. 写真では絶対にできない体験だと思います。
Q5. 西沢さんの建築は3DVRで再現しやすいと思いますか?十和田市現代美術館はどうでしょうか。
A5. 十和田は、3Dウォークスルーに合っている部分と合ってない部分の両方があるように感じました。空間構成の単純さは、3Dでは伝わらないと感じましたが、各部屋の静けさ、雰囲気、また街と室内の関係などは、伝わってきました。
西沢立衛(にしざわ・りゅうえ)
建築家。横浜国立大学大学院建築都市スクールY-GSA教授。
1966年東京都生まれ。1990年横浜国立大学大学院修士課程修了。同年、妹島和世建築設計事務所入所。1995年~妹島和世と共にSANAA設立。1997年西沢立衛建築設計事務所設立。金沢21世紀美術館(SANAA)(2004年)、ニューミュージアム(2007年)、十和田市現代美術館(2008年)、豊島美術館(2010年)、ルーブル・ランス(SANAA)(2012年)など多くの美術館を設計。プリツカー賞(SANAA)(2010年)、日本建築学会賞(2012年)など受賞多数。
※photo:©office of Ryue Nishizawa
公開期間:
2021 年1 月21 日(木)-2 月21 日(日)
料金
十和田市現代美術館内展示3DVR鑑賞 200円
※有効時間:48時間視聴可能
主催
文化庁
株式会社アートローグ
文化庁の文化芸術収益強化事業「美術館展覧会の3DVR コンテンツ 有料化による収益強化事業」の一環で、株式会社アートローグが制作・運営をしています。
株式会社アートローグのWEBページはこちら。
協力
十和田市現代美術館