まちなか常設展示
エルヴィン・ヴルム
庭つきの赤い屋根の家と、真っ赤な車。ぶくぶくと膨らんだその容姿は、脂肪の増減によって体型が変わる私たちの身体を思わせます。社会的な成功や富の象徴でもある家や車を、どこか滑稽な姿かたちに変形させたこの作品は、資本主義や美醜についての既存の価値観をからかうようです。また、《ファット・ハウス》内に流れる映像では、家自身が「私は家?それともアート?」とつぶやきながら、アイデンティティについての問いを投げかけます。
撮影:小山田邦哉
エルヴィン・ヴルム
1954年シュタイアーマルク・ブルック・アン・デア・ムーア(オーストリア)生まれ。ウィーン応用美術大学(オーストリア)、ウィーン美術アカデミーで学ぶ。エルヴィン・ヴルムは日常生活の不思議な描写とフォーマリズムに対する奇妙なアプローチを特徴とする。彼は釘、ネジなどの日常的な身の周りのものを使って人々の彫刻の定義を覆すような驚異的な彫刻をつくりだす。主な個展は「Fat Car andJakob-Jakob Fat」(パレ・ド・トーキョー、パリ、フランス、2002)、「Erwin Wurm」(ローマ現代アート美術館、イタリア、2005)、「Erwin Wurm」(カンチニ美術館、マルセイユ、フランス、2019)など。彼の作品は、「第57回ヴェネチア・ビエンナーレ」(イタリア、2017)のオーストリア館で展示された。
《ファット・ハウス》
制作年:2010
素材:鉄、木、ポリスチレン、アルミニウム、電気設備、
DVD、プロジェクター、スピーカー
サイズ(W×D×H):1070×745×560 cm
《ファット・カー》
制作年:2010
素材:スタイロフォーム、ポリエステル、車
サイズ(W×D×H):231×510×141 cm
インタビュアー:中川千恵子 (十和田市現代美術館)
実施日:2022 年7 月27 日