常設作品
アナ・ラウラ・アラエズ
六角形の台座を平行に倒したような形の《光の橋》は、トンネルのようにも見えながら、横になった人の身体と捉えることもできます。幾何学的な形の彫刻作品でありながら、開かれた通路のような機能を持ち、外側からだけでなく、内側からも作品を観察することができます。柔らかな音楽によって彫刻作品の内部に招かれる体験は、鑑賞者と作品の関係性を変化させ、私たちが持つ従来の彫刻のイメージを覆します。
《光の橋》は、アナ・ラウラ・アラエズが、活動の初期から持つ「彫刻とは何か」という問いを含んでいます。きわめて芸術的なテーマであると同時に、伝統的な彫刻作品に深くかかわる男性的な概念である強さ、硬さ、荒々しい身体性など、社会のさまざまな場面で要求されるイメージに対する疑念でもあります。
固定化された概念を解体する試みは、本来あるべき社会の姿を提唱しているようでもあります。
【2021年1月21日(木)〜2月21日(日)】自宅でも館内の常設展示を巡ることができる オンライン鑑賞コンテンツを公開中です。
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アナ・ラウラ・アラエズ
1964年ビルバオ(スペイン)生まれ。バルセロナ(スペイン)在住。バスク大学(スペイン)で美術を学び、バスク出身の女性芸術家として活動を始める。ミロ美術館で初の個展「Superficie」(マドリッド、スペイン、1992)を開催した。彼女の作品は「第48回ヴェネチア・ビエンナーレ」(イタリア、1999)、ソフィア王妃芸術センター(マドリッド、スペイン、2000)、「第49回ヴェネチア・ビエンナーレ」(2001)などで展示されている。