ストリートファニチャー

虫-A

ライラ・ジュマ・A・ラシッド


作品について

 市立病院の前にある、上下左右にカーブを描いたカラフルなベンチは《Worms-A》(虫-A)という作品です。たしかに、虫のような形をしています。アラブ首長国連邦出身の作家ライラ・ジュマ・A・ラシッドは色彩豊かで抽象的な絵画やデザインを数多く発表していますが、今回は彼女にとって初めてのストリートファニチャー作品になりました。
 wormという言葉にはさまざまな意味があります。「体が長くて足のない生物の種類」、「システムの中で自己増殖するプログラム」というコンピュータの専門用語など。では、なぜ虫の形のベンチをつくったのでしょうか。
 官庁街通りに置かれるベンチは、それが目立つと同時に目立たずにまちに溶け込むことの両方が必要だと、彼女は考えました。それがベンチだとわかってもらえなければ誰も座ってくれないでしょう。しかし、まちの風景に溶け込んで環境を壊さないことも大切です。こうした2つの課題にライラ・ジュマがだした答えが、色はカラフルに、高さは低くし、形は虫のようにやわらかく曲線を描いた彫刻にするというアイデアです。そうすることでこの作品は、目立つと同時に目立たない、そしてやわらかく人に寄り添うようなベンチになりました。楽しい色づかいは、きっと子どもたちにも喜ばれるでしょう。

撮影:小山田邦哉


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