美術館
山極満博
大型作品が多いこの美術館の中で、建物の内外をさまよいながら見つけるのが山極満博の作品です。隙間のような空間に点在する作品は、どれも小さく、くすりと笑いを誘うユーモラスなものです。
スイスの山奥に棲息する凍りついたマーモット、夜間に光り輝く氷の展示室、まるで寓話のように“つながるようでつながらない”いくつかの断片は、「見ること」や、その関係性を問いながら、私たちに疑問を投げかけているようです。人の動きや視線の動きに注目する山極は、平行移動ではなく垂直に動くエレベーター内にも、忘れ去られたかのように風船のオブジェを配しました。また、コンクリートの側溝により築かれた道路は通路の手前で途切れ、スケールや、ずれを想起させる不思議な作品です。
山極は、平面や、日用品を使ったオブジェなど、さまざまなメディアを空間に点在させるようなインスタレーションを手がけてきました。観客はその断片をつなぎ合わせ、自由にひとつのストーリーをつむいで楽しむことができます。
撮影:小山田邦哉
山極満博
1969年長野県生まれ。東京造形大学卒業。美術・デザインの出版社で編集に携わりながら作家活動をスタート。アーツ前橋(2013)では開館に際し、建築空間の内外の関係、動線を読み込んだコミッションワークを設置、常設展示している。主な展覧会に「Welt in Liestal-Japan im Palazzo」(Kunsthalle Palazzo、リースタル、スイス、2016)、「Century idee bauhaus-a drj Project with 100 International Artists」(drj-dr. julius |ap、ベルリン、ドイツ、2019)、「しーん。」(小海町高原美術館、長野、2019)など。
《ぼくはきみになれない》
制作年:2008
素材:ミクストメディア
サイズ(W×D×H):φ56×91 cm
《なんにもない話》
制作年:2008
素材:ミクストメディア
サイズ(W×D×H):50×60×65 cm
《ひとつはふたつ》
制作年:2008
素材:ミクストメディア
サイズ(W×D×H):17×290×15 cm
《ちいさなおとしもの》
制作年:2008
素材:ミクストメディア
サイズ(W×D×H):φ18×25 cm
【げんびサポーター限定トークイベント】
山極満博《あっちとこっちとそっち》
2022年9月4日収録