ストリートファニチャー

トゥエルヴ・レヴェル・ベンチ

マイダー・ロペス


作品について

 色とりどりのタイルがランダムに並べられたベンチ。名前は《トゥエルヴ・レヴェル・ベンチ》といいます。これは道に置かれたただのベンチなのでしょうか、それともアート作品なのでしょうか。答えは、「わざと曖昧にしている」。どちらなのかを決めるのは私たちなのです。
 座面のタイルをよく見ると、道路に敷かれているタイルと同じサイズだとわかります。まるで地面がさまざまな高さに盛り上がったようです。この高さの違いを利用すれば、ただ座ってくつろぐだけでなく、コーヒーを置いたり背もたれにしたり新聞を広げたり、待ち合わせをしたり、会話をしたり、ベンチをいろいろな目的に使うことができます。この時ベンチが置かれた空間は、休憩するための場所だけでなく、待ち合わせ場所や井戸端会議が開かれる場所になったりするでしょう。誰がどのように使うかによって、ベンチのある空間そのものが変化するわけです。
 このようにしてアート作品は周囲の人々や空間に働きかけ、さらに空間そのものを作品にします。私たちがどのようにまちとかかわり、まちをつくりあげることができるのか。このベンチはその可能性を示そうとしているのです。

撮影:小山田邦哉


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