美術館
アナ・ラウラ・アラエズ
六角形の台座を平行に倒したような形の《光の橋》は、トンネルのようにも見えながら、横になった人の身体と捉えることもできます。幾何学的な形の彫刻作品でありながら、開かれた通路のような機能を持ち、外側からだけでなく、内側からも作品を観察することができます。柔らかな音楽によって彫刻作品の内部に招かれる体験は、鑑賞者と作品の関係性を変化させ、私たちが持つ従来の彫刻のイメージを覆します。
《光の橋》は、アナ・ラウラ・アラエズが、活動の初期から持つ「彫刻とは何か」という問いを含んでいます。きわめて芸術的なテーマであると同時に、伝統的な彫刻作品に深くかかわる男性的な概念である強さ、硬さ、荒々しい身体性など、社会のさまざまな場面で要求されるイメージに対する疑念でもあります。
固定化された概念を解体する試みは、本来あるべき社会の姿を提唱しているようでもあります。
撮影:小山田邦哉
アナ・ラウラ・アラエズ
1964年ビルバオ(スペイン)生まれ。バレアレス諸島マヨルカ島在住。バスク大学(スペイン)で美術を学び、バスク出身の女性芸術家として活動を始める。ミロ美術館で初の個展「Superficie」(マドリッド、スペイン、1992)を開催した。彼女の作品は「ダンス・アンド・ディスコ」(ソフィア王妃芸術センター、マドリッド、1999)、第49回ヴェネチア・ビエンナーレ スペイン館(イタリア、2001)「ヘル・ディスコ」(ヘルシンキ市立美術館、フィンランド、Centro Cultural de España en México、メキシコ、2004-2005)などで展示されている。
制作年:2008
素材:鉄、ガラス、ネオン
サイズ(W×D×H):370×768×320 cm
【げんびサポーター限定トークイベント】
第九回目 アナ・ラウラ・アラエズ《光の橋》
2023年10月1日 収録
インタビュアー:中川千恵子 (十和田市現代美術館)
実施日:2022 年2 月15 日
2019年12月10日に行われた当館での作家のパフォーマンスの記録映像です。