現在非公開の収蔵品

おろちAM1485 kHz

毛利悠子


作品について

 毛利悠子は、日用品を本来の使い方ではない別の方法で用い、電気や磁力など目に見えないエネルギーの存在を可視化するインスタレーション作品を制作してきました。
 《おろちAM1485 kHz》は、2013年から制作されている「おろち」シリーズの1つです。「おろち」は、床にラジオ受信機とアンプが直接置かれ、アンプの音声端子からケーブルが伸びています。本来はケーブルの先にスピーカーを接続することでラジオの音が流れます。しかし、毛利はそのケーブルにスピーカーを接続せず、代わりにケーブルを何重にも巻きつけることによってコイル状にし、ラジオで受信した音声を磁力に変換させました。ケーブルの中心に垂らされた磁石が揺れ動くことで、目には見えないけれどそこにある磁力の存在に気づきます。受信しているラジオは展示する地域で配信されているラジオで、《おろちAM1485 kHz》では、AM1485 kHz(青森放送)を受信しています。
 結びや包み方を民俗学的に研究した額田巌の著書には、額田が勤めていた電気通信機会社で、工場の中央にあった大きな通信ケーブルの束が「おろち」と呼ばれていたというエピソードが記されています。そのようなケーブルの束と、見えない力を伴うとされる大蛇や標縄(しめなわ)との共通性に興味を持ち制作された彫刻作品です。
 2018年に開催した企画展「毛利悠子 ただし抵抗はあるものとする」に展示された作品です。

 ※現在はこの作品は観覧することはできません。

撮影:小山田邦哉


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