まちなか常設展示
目[mé]
《space》は2階建ての建物に元の建物とは全く異なる空間、ガラス張りのホワイトキューブが埋め込まれています。コピー・アンド・ペーストのように、元の空間の一部が切り取られ、新たな空間が暴力的な力を持って貼り付けられています。近づいてみると2階の窓は鋭角に、既存の床は消え去ったように、ホワイトキューブの空間に侵食されています。建物の裏側に回ると外階段が現れ、その階段を上がって、ガラスの扉を開けて中の空間に入ることができます。そこは十和田市現代美術館の展示室と同じく、外光が白い空間を満たしています。
目[mé]がホワイトキューブをモチーフにしたのは、作品がまちなかに広がっていくという十和田市現代美術館の建築構想を踏まえたからです。通常、アートイベントなどでは、町おこしとして既存の建物を使用し、その土地の文脈を読み取り、作品を展開することを暗黙のうちに期待されます。当企画でも空き家を利用した作品を依頼したが、それに対して目[mé]は十和田の土地や既存の建物の文脈を全く無かったものとする新たな空間をホワイトキューブとして埋め込んでいます。既存の建物内部をホワイトキューブとするのではなく、新旧のこのような併置が《space》の独自性といえます。
アーティストが作品を創っていく過程で、美術館やイベント主催者側など周囲がアーティストに求めているものが明らかになってきます。そこで表現方法に枠がはめられ自由が制約される側面が生まれるとともに、そこから新たな表現が生まれていくこともこの作品から見えてきます。
撮影:小山田邦哉
目[mé]
2013年活動を始める。アーティスト 荒神明香、ディレクター 南川憲二、インストーラー 増井宏文を中心とする現代アートチーム。個々の技術や適性を活かすチーム・クリエイションのもと、特定の手法やジャンルにこだわらず展示空間や観客を含めた状況/導線を重視し、果てしなく不確かな現実世界を私たちの実感に引き寄せようとする作品を展開している。近年の活動に「非常にはっきりとわからない」(千葉市美術館、2019)、「まさゆめ」(Tokyo Tokyo FESTIVAL スペシャル13、2019-2021)などがある。
さいたま国際芸術祭2023ディレクター。十和田市現代美術館で2020年7月から2022年5月まで 開催したArts Towada十周年記念「インター + プレイ」展で、まちなかの建物を展示室に改装した作品 《space》を制作。
制作年:2020
素材:ミクストメディア
※space展覧会を開催していない期間は、屋外からのみ《space》を観覧できます。
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