美術館
奈良美智
外壁に描かれた、ひとりの子ども。斜めの方向を見つめる鋭い視線や結んだ口元は、ニヤリと笑っているようにも、思いを飲み込んでいるようにも見えます。ところどころ破れた服でだらりと腕を垂らし、足を組みながら立つ姿からは、脱力感や気だるさも感じられます。シンプルな線とデフォルメされた輪郭で描かれたこの子どもは、見る人によってさまざまに表情を変え、まるで私たちの内面や記憶、誰かの面影を浮かび上がらせる写し鏡のようでもあります。
撮影:小山田邦哉
奈良美智
1959年青森県生まれ。1987年愛知県立芸術大学大学院修士課程修了。1988年ドイツ、デュッセルドルフ芸術アカデミーに入学、卒業後もケルンを拠点に作品を制作。2000年に帰国、以後国内外の展覧会で発表を続ける。近年の主な個展に、「君や 僕に ちょっと似ている」(横浜美術館+青森県立美術館+熊本市現代美術館、2012-13)、「Life is Only One:Yoshitomo Nara」(Asia Society Hong Kong Center、中国、2015)、「奈良美智 for better or worse」(豊田市美術館、愛知、2017)など。2020年4月にロサンゼルス・カウンティ美術館(アメリカ)で始まる大規模個展は、余德耀美術館(上海、中国)、ビルバオ・グッゲンハイム美術館(スペイン)、クンストハル・ロッテルダム(オランダ)を巡回。
制作年:2012
素材:カッティングシート
サイズ(W×D×H):2048×1000 cm
げんびサポーター限定 常設作品関連プログラム
奈良美智 トーク
日時:2022年12月4日