美術館
髙橋匡太
端正な白いキューブが林立する美術館を、日没から夜の9 時まで、髙橋匡太の光のアートが、まったく異なる風景に変貌させます。各壁面に直接照射された色とりどりの光は、刻一刻と変化し続け、この世のものとは思えない幻想的で美しい世界をつくりだします。この作品を構想するにあたって、髙橋は建築の立体的なボリュームではなく、構成する面に注目しました。いわば3Dの建築を分解して、2Dで再構築しているのです。重量感を感じさせない光の平面が時間とともに立ち現れる様は、光の建築とでも言える新たな表現となっています。照明が移り変わる際の制御に、水面のゆらぎのパターンを応用し、呼吸をするような有機的な感触を生みだしました。十和田の新たな夜景となったこの作品は、四季折々、あるいはイベントごとに色の変化が楽しめます。
髙橋は、光や映像を用い、空間をドラマチックに変容させる作品を多数制作してきました。音楽やダンスなどとのコラボレーションも積極的に行い、日本のみならず海外でも精力的に活動をしています。
撮影:北村光隆
髙橋匡太
1970年京都府生まれ。1995年京都市立芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。光や映像によるパブリックプロジェクション、インスタレーション、パフォーマンス公演など幅広く国内外で活動を行っている。京都市京セラ美術館、東京駅、十和田市現代美術館など建築物へのライティングプロジェクトは、ダイナミックで造形的な光の作品をつくりだす。多くの人とともにつくる「夢のたね」、「ひかりの実」、「ひかりの花畑」など大規模な参加型アートプロジェクトも数多く手がけている。DSA日本空間デザイン賞2015優秀賞、照明学会照明普賞2017、照明デザイン賞2018審査員特別賞、第28回AACA賞優秀賞、第28回AACA賞30周年記念美術工芸賞などを受賞。
制作年:2008
素材:照明機材
【げんびサポーター(ボランティア)限定トークイベント】
髙橋匡太《いろとりどりのかけら》
2021年7月15日 収録