美術館
マリール・ノイデッカー
まるで一部を切り取ったかのように、型を取り精巧に現された森。小道や切り株などから人の痕跡が感じられますが、見上げるような高さにあるため全体を把握することはできません。木立を照らす舞台装置のような照明は、自然を見通そうと光を持ち込む人間の欲望を表す一方で、かえって闇の深さを強調するようでもあり、夜の静寂に包まれた森が喚起する畏敬の念を思い起こさせます。人間が風景や自然環境に対して抱く相反する感情を読み取ることができるでしょう。
撮影:小山田邦哉
Courtesy the artist with the kind support of the Forestry Commission, Bedgebury Pinetum, England
マリール・ノイデッカー
1965年デュッセルドルフ(ドイツ)生まれ。ブリストル(イギリス)在住。ドイツ、アイルランド、イギリスで芸術を学び、現在はバース・スパ大学の研究員・教授、欧州原子核研究機構のアーティスト・プログラムの研究員と、欧州委員会共同研究センター、芸術・化学部門の諮問委員会委員を務める。ノイデッカーは、自然とテクノロジーに対する私たちの知覚を試しながら、人間の体験が大きく変化する境界を探求し、実践している。主な展覧会に「Until Now」(Ikon Gallery、バーミンガム、イギリス、2000)、「Over and over, again and again」(テート・セント・アイヴス・テート・ブリテン、イギリス、2004-05)、「Hinterland」(トロンハイム美術館、ノルウェイ、2010)、「Some Things Happen All At Once」(ツェッペリン博物館、フリードリヒスハーフェン、ドイツ、2016)があるほか、多様な国際グループ展に出展している。
制作年:2008
素材:ミクストメディア
サイズ(W×D×H):950×560×470 cm
マリール・ノイデッカー インタビュー(PDF)
インタビュアー : 外山有茉 ( ⼗和⽥市現代美術館 )
実施⽇ : 2022年7⽉22⽇