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PixCell-Deer#52

名和晃平


作品について

 名和晃平は、セル(細胞・粒)で世界を認識するという独自の概念を軸に、ガラスや液体などのさまざまな素材や3Dスキャンなどの最新の技術を用い、彫刻の新たなあり方を追求しています。
 名和の代表作「PixCell」シリーズは、インターネットを介して集めた動物の剥製や楽器などの物体の表面を、透明の球体で覆った彫刻作品です。「PixCell」という言葉は、Pixel(画素)とCell(細胞、粒、器)を掛け合わせた造語です。
 私たちがパソコンや携帯などの画面で見ている画像は、細かいPixelで構成されています。剥製などの物体も透明の球体(セル)で覆われることにより、異なる物体でも同一の質感に変化し、セルのレンズの効果によって、物体の表面は拡大され歪曲されます。セルによって分割された画像は、鑑賞者の視点の移動に合わせて映像のように変化していきます。触覚的、視覚的なリアリティを持つ現物が、映像としてしか知覚できなくなります。
 名和の作品は、効率や利便性を重視することで身体感覚をそぎ落としてきた、情報社会の現状を彫刻作品として表現していますが、ネットを介した経験にますます傾いているコロナ禍の現在と奇しくもリンクしています。

撮影:小山田邦哉


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